2008年10月30日

ハンドソーンウエルト製法とグッドイヤーウエルト製法の違い



高級紳士靴の製法として名高いグッドイヤーウエルト製法は、電気や大型の機械が無い時代、数百年も前から延々と引き継がれて作られてきた、二重縫いの手縫い靴、つまりハンドソーン(手縫い)ウエルト製法の構造を、機械で製作できるように改良された製法です。

当時はこの複雑な製法は機械化できないとされていましたが、その方法を開発した人物がグッドイヤーという人で、その名前が冠され、グッドイヤーウエルト製法と呼ばれています。

では、この二つはまったく同じなのか?というと、そうでもありません。

ハンドソーンウエルト製法は、手の込んでいるだけで価格が高い、だったらグッドイヤー製法で良いのでは?

と思われる方もおられますが、実はかなりの違いが有り、ハンドソーンの優位性も多くあります。

その構造の違いを紹介したいと思います。









ヨーロッパの有名メーカー、グッドイヤーウエルト製法の靴を分解してみました。    

IMG_2082.jpg


 




IMG_2100.jpg


中底は約3mm厚、その中底に「リブ」と呼ばれる布製の山を接着してあり、その「リブ」に対して、アッパーとウエルトを機械で縫い付けるという方法で製作してあります。

IMG_2066.jpg


接着材で「リブ」という布を接着してあるので、古くなるとやはりはがれてきます。

IMG_2059.jpg
 

中底と底の間にはコルクがつめてあります。

機械で縫いやすくするため?リブの高さがあるので、その高さを埋めるために、中底よりも分厚いことがわかります。

当然、底の厚みはかなりの分厚さになります。

ウエストの部分も厚くどっしりと頑丈な感じでスマートさはあまりありません。

IMG_2081.jpg









対してハンドソーンウエルト製法では、約5mmほどもある厚手の中底に溝を掘り、縫うための山を作り、その山に対して、アッパーとウエルトを一針ずつ、手作業で縫いつけてゆきます。

P1050031_1600211.jpg


中底そのものに縫い付けているので、はがれるということはありません。

DSCF0940a1.jpg
 

リブのような異質なものが無いために、コルクも必要最低限です。

グッドイヤー製法に比べて、骨格ともいえる中底が分厚く丈夫、つまり耐久性に優れています。

それでいてリブのような異質なものが無いために、曲がりやすく、足になじむのも早いはずです。

P1000730.JPG


手作りである特徴として、ウエストラインが踵に近づくにつれて、細くなるというように、スマートで繊細な作りにすることも出来ます。


 



と、いう感じでハンドソーンウエルト製法はただ手がかかっているというだけではなく、グッドイヤー製法に比べて、多くの優位性があるわけです。



グッドイヤー製法は機械製法であるための制約も多く、一足一足のオーダーメイドには向きません。

細かな対応が出来るということも、ハンドソーンウエルト製法の特徴です。

ハンドソーンウエルト製法の詳しい構造は、「ハンドソーンウエルテッド製法の構造と特徴の紹介」をご覧ください。











■古いグッドイヤーウエルト製法の靴の中底を内側から撮影したものです。■

足の形がくっきりついています。

このように、中底が自分の足の形にクゼ付けされて、足になじんでゆきます。

グッドイヤーウエルト製法も、ハンドソーンウエルト製法も、長く大事に履いてこそ、値打ちのある靴です。

修理をしながら、手入れをして履けば、一生モノと言っても過言ではありません。

エコですね。


 
IMG_2094.jpg


 


trackbacks

trackbackURL:

comments

comment form

(靴工房 ハンザワ 靴の雑学 にはじめてコメントされる場合、不適切なコメントを防止するため、掲載前に管理者が内容を確認しています。適切なコメントと判断した場合コメントは直ちに表示されますので、再度コメントを投稿する必要はありません。)

comment form